ペルゴレージ歌劇「オリンピーアデ」 日本初演 2015.10.8 Thu. 紀尾井ホール 指揮・チェンバロ:河原忠之 演出:粟國淳 リブレット・字幕翻訳:本谷麻子 紀尾井オペラ・アンサンブル(特別編成)リーダー:石田泰尚 クリステーネ:吉田浩之/アリステーア:幸田浩子/アルジェーネ:林美智子/リーチダ:澤畑恵美/メガークレ:向野由美子/アミンタ:望月哲也/アルカンドロ:彌勒忠史 |
ホールへ這入ると、風が流れる広い空と、海の波を思わせるブルーのライトに照らされた配置の良い舞台が見える。そこにはすでにひとつの世界が存在した。オペラはドアを開けた瞬間に心の中ですでに始まったのだ。その時点で演出の良さを確信したが、場面の区切りごとの拍手空間で、これがオペラ本来の舞台形式だったのではないか、という感情が湧いた。そして演奏が始まった時、まず感じたのは、紀尾井ホールの音響の良さ。気取らない優雅な演奏が心地よく響く。字幕の配置と内容もよく、ある二つの場面の照明がとても効果的だった。舞台空間、衣裳も都会的でセンスが良い。 そして人間をこれほど楽器として駆使したオペラはないのではないか!? 人間ヴァイオリンかと思えるほど繊細で大胆で高度な演奏。歌い手の体力と精神力を絶賛したい。特にメガークレは圧巻。内容は、恋愛より友情を第一義とするゆえの葛藤、親子の情愛より正義を第一義とするゆえの葛藤、と比較的展開予測のつくパターンだが、予測しながらも見守りたいと思わせるところが、進行に添えるところ。その感情を促すのは、やはり曲の流れの美しさとレチタティーヴォだろう。そして演出の良さだろう。ハッピーエンドがきれいに決まった。 |
★歌の中に現れる感性は、時を経ても心の中に浮び上がってくる。総合力で印象に残っている人は、林美智子さんと吉田浩之さん。 |
進化し続けるアーティスト そのパワーと個性(天賦+最大の努力)は追随を許さない | |
荘村清志&錦織健デュオ・リサイタル 2015.10.4 Sun. なかのZERO大ホール | ピュアな人間同士の組合せ。錦織健のロングトーン、ファルセットは相変わらず素晴らしいが、今回は装飾音の豊かさが際立った。錦織氏がオペラのアリアを歌い始めると、天へ向って明るさが広がり、自然に視線が向く。やはりこの方はオペラ歌手だなと思える瞬間である。またオペラの発声法も残してポップスに転換して歌えるのも特徴。荘村氏のギター独奏がフレスコバルディで始まったのは意外性があり、嬉しかった。アンコール曲[ヴォラーレ、禁じられた遊び(ギター独奏)、オ・ソレ・ミオ]の選曲もよく、企画力が素晴らしい。 |
coba special concert 2015.9.26 Sat. 板橋区立文化会館大ホール |
アコーディオン界の常識を破ったスタイル―拡声器込楽器15kgを抱えた立位―で誰よりも難易度の高い演奏を繰り広げるcoba。最近はカヴァーも始めたが、オリジナル曲がよい。ギター:伊丹雅博、ベース:田中晋吾、ドラムス:山内陽一朗とのセッションは、秋というより、真夏のファンタジーだった。 |
ご来場ありがとうございました。 日傘順子 Junko Higasa